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世界中でここだけ!チェコでしか見られないキュビズム建築
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- 有賀みかる
2005年よりチェコ・プラハ在住。安くて美味しいビールを前に日本酒党返上…でも時々恋しくなる。複雑怪奇なチェコ語文法と格闘しつつ、中欧の小国チェコの歴史の面白さ、美しい街並み、素晴らしい建築物に浸かる日々。
フランスで始まったキュビズム……でも建築はなぜかチェコだけ
黄金のプラハ、北のローマ、百塔の街、魔法の都…プラハを形容する言葉はいくつもあれど、私が最もプラハの素晴らしさを表していると思うものに「建築博物館の街」というのがあります。中欧に位置するプラハは、決して平穏無事な歴史ではなかったけれど、街並みが戦争の被害に遭うのはまれでした。そのおかげで千年にわたるあらゆる建築様式を見ることができます。なかでもキュビズム様式は、フランスのピカソとブラックらの絵画から始まった芸術運動の影響を受けたものですが、建築はここチェコでしか見られない貴重なスタイルなのです。
ヨゼフ・ホホルの美しいキュビズム三部作
キュビズム建築は、プラハを中心に地方にも点在し、とてもいっぺんには紹介しきれませんが、時間がない人のために「ここだけは」というところをおすすめします。天才的な建築家、ヨゼフ・ホホルの3つの建物が固まって存在する、プラハのヴィシェフラット地区。ホホルの三部作の一番最後にして一番有名な、ネクラノヴァの集合住宅は、ダイナミックな立体幾何学的デザインながら周りの建物とも調和しているし、90度ない角地と坂という普通に考えたらハンデとしかいえない土地に、またとない素敵な建物を作ってしまった、という感じ。
なぜチェコだけでキュビズム建築が…?
一般的にキュビズム運動の始まりは、1907年にピカソが描いた「アヴィニヨンの娘たち」とされていますが、本家フランスにないキュビズム建築がチェコになぜ生まれたのかは、いまだに議論されているところ。当時チェコ・キュビズムについての重要な論文を発表したパヴェル・ヤナークは、建物だけでなく食器なども作っていて、その発想はボヘミアン・グラスの模写から、という説も。20世紀初頭から1918年にチェコスロヴァキアとして独立を果たす政治的にもダイナミックな時期と重なる、とても興味深いデザインスタイルなのです。
コヴァジョヴィッチ邸は細部まで傑作
ネクラノヴァ通りをヴルタヴァ河のほうへいくとリブシナ通りがあります。建物内に入ることはできませんが、外観だけでもホホルの天才っぷりを見せつける傑作。庭園側は丸く張り出したテラス付きの大きな出窓が印象的、門につづく柵にすらキュビズム的モチーフがふんだんに使われ、裏側のファサードも凝っています。建築家ホホルはかなり変わった人だったそうですが、建物は奇抜な感じからは程遠く、宝石のカットを思わせる端正なデザインで、いつ見ても感動します。キュビズム建築は、ビールとともに自慢できるチェコの財産なのです。
【関連情報】
■ヨゼフ・ホホルのヴィシェフラット三部作へのアクセス
中心(ヴァーツラフ広場など)からトラム18番か24番でAlbertov下車。そのまま進行方向にトラムの線路沿いを進み、右手に鉄道の線路の下をくぐる短い地下道が見えたら、それをくぐると目の前にネクラノヴァ通りの集合住宅が現れる。
■ネクラノヴァ通りの集合住宅
Neklanova 30, Vysehrad, Praha 2
■リブシナ通りのコヴァジョヴィッチ邸
Libusina 3, Vysehrad, Praha 2
■ヴィシェフラットの三世帯住宅
Rasinovo nabrezi 6-10, Vysehrad, Praha 2
掲載日:2007/09/10
※上記は記事掲載時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。
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